ギター・ウクレレ教室 Talking

奈良県桜井市の音楽教室

 

コラム

現在Talkingまたは他教室に通われている生徒さんや、音楽教室に興味をお持ちの皆さんに向けて、自分がこれまでの講師生活において、経験したことや感じたこと、楽器指導に対する考え方など、どうでもいい話から少し固い話までざっくばらんに自分の思考を書いています。


大手スクールと個人教室

音楽教室は大きく分けて2種類に別れます。

それは楽器店や大手音楽スクールなどの企業が運営する教室と、先生が個人で開校している個人経営の教室です。

全国的に名の知れた大手企業から、従業員数名の中小企業まで規模は様々です。

個人経営の教室も、自宅で開いている小さな教室や、何名かの講師を雇って運営している教室もあるようです。

このページでは、企業が運営する大手教室と個人教室の違いや、それぞれの特長をいくつか上げてみます。

これから楽器を習いたい人は、教室(スクール)を選ぶ時の参考にしてみて下さい。

1. 立地条件

大手スクールは、駅前や国道に面した商業ビルにあることが多いです。

駅前なら学校や仕事帰りに通いやすく、国道に面していれば車で通う場合でも便利です。

音楽教室と同時に楽器の販売も行っている会社もあるので、そういうスクールはレッスン後に楽器や楽譜を買ったりできて便利です。

それに対して個人教室は、講師が自宅で開校していていることが多く、駅から離れていたり住宅街の細い道を入って行く必要があったり、遠くから電車や車で通う人には不便が多いかもしれません。

2. レッスン料

レッスン料は教室によってかなり違いがあります。

個人教室に比べて大手スクールはレッスン料が高めです。
これはやはり家賃が高いことが大きな原因でしょう。

大手教室は商業ビルにありますからテナント料がかかります。

駅前などの一等地に出している教室は、毎月の家賃だけでもかなりの額ですから、それに伴ってレッスン料は高くなります。

家賃の他に、人件費や広告費もレッスン料に関係してきます。

沢山の生徒さんに入会してもらうためには、教室の宣伝にも力を入れます。

大手企業は家賃の高い商業ビルで大勢の社員を雇い、多額の広告費をかけてスクールを運営しているわけですから、個人教室に比べてレッスン料が高くなるのは当然です。

3. 先生の仕事力

教室に通う生徒さんにとって、立地条件やレッスン料も大事なことですが、最も重要な要素が先生の指導力ではないでしょうか。

「とにかく楽器を上手くなりたい自分にとっては、レッスン料の安さより、自分にどれだけのことを教えてくれるのかが重要」と、ある生徒さんが言っていました。

私も以前、ギターを習っていた頃は全く同じことを思っていました。

20歳過ぎの自分にとって、毎月1万2千円のレッスン料は大金でしたが、月に2回大阪まで片道1時間半をかけて通っていました。

当時お世話になっていた先生のレッスンはとても魅力のあるもので、それだけのお金と時間をかけて通うだけの価値が十分にあるものでした。

大手スクールと個人教室とでは、先生の指導力に差があるかどうかは一概には言えませんが、
確実に差があるとすれば、それは熱意と仕事力ではないでしょうか。

大手スクールの先生は担当している生徒さんの指導だけをしていればいいのですが、
個人教室というのは、指導だけでなく、教室の運営に対して熱意がなければ続けていけません。

教材の作成や一人ひとりに合わせたカリキュラムを考えるのもちろんですが、レッスン室の環境や設備の維持、電話の応対、書類の作成、広報活動、マーケティングの勉強も必要です。

4. システム

開校している時間帯や曜日、レッスン日に何らかの事情で受講できなくなった場合の、振替制度がどうなっているかということも重要なポイントです。

大手スクールの一週間を通して開校している曜日や時間帯は、就業している先生のスケジュールによって決まります。

大手スクールは企業側が先生にレッスンを委託していますから、生徒さんが希望する時間にレッスンが行える先生がいなければ開校できません。

しかも曜日によって担当している先生が異なることが多く、指定の日にレッスンを欠席してしまうと別の日に受講できない(振替制度がない)ことがほとんどです。

曜日によって担当の先生が異なると、もうひとつ大きな問題があります。

例えば、生徒さんの都合でそれまで受講していた曜日に通えなくなったという場合、翌月以降のレッスンの曜日を変えると必然的に担当の先生が変わることになります。

どんな先生でも構わないという人はいいですが、楽器のレッスンというのはやはり「人と人」なので、相性が合うかということもあったり、先生の性格や人柄、年齢、指導の仕方なども、生徒さんの立場からするととても重要なことだと思います。

複数の先生から指導を受けてみれば解ることですが、楽器の教え方というのは先生によって本当に様々です。
「こんなにも違うのか」と感じることもあるかもしれません。

映画のストーリーを解説する友人の話を聞いていて、「面白そうだから自分も観てみたい」と思うこともあれば、別の友人の解説では「何を言ってるのかさっぱり解らない」と思うことはありませんか?

楽器の指導も、教える人によって上達できるかどうかが大きく変わります。

以前に私が契約していた大手スクールでは、長い間受講していた先生のレッスンが受けられなくなって、担当の先生が変わってしまったせいで教室を退会された生徒さんが大勢いました。

先生が一人で運営している個人教室では、振替制度が可能であったり、一ヶ月ごとに受講の日時が変えられるなど、比較的柔軟に対応できるシステムになっていることが多いと思います。

レッスンを1回ずつ自由な時間に予約して受講するシステム(ワンレッスン制)を取っている教室もあるようです。

5. 先生の立場

大手スクールで指導している先生と、自ら教室を立ち上げて経営している先生とでは立場が違います。

大手スクールの先生は企業と契約して就業している立場なので、より条件のいい契約先を求めて職場を移ったりすることがあります。

演奏活動をメインにしていて、暇な時間だけアルバイトとして講師をしているという先生もいるので、大手スクールではいろいろな理由で数年おきに担当の先生が変わってしまうこともあるようです。

それに対して個人教室ではそれはありません。

私もそうでしたが、自ら教室を開いて運営するには、それなりの覚悟と決心が必要です。

仕事が嫌になったからといって教室を辞めるわけにはいきませんからね。

西沢恭輔の写真

西沢恭輔