ギター・ウクレレ教室 Talking

奈良県桜井市の音楽教室

 

コラム

現在Talkingまたは他教室に通われている生徒さんや、音楽教室に興味をお持ちの皆さんに向けて、自分がこれまでの講師生活において、経験したことや感じたこと、楽器指導に対する考え方など、どうでもいい話から少し固い話までざっくばらんに自分の思考を書いています。


インプットすることの重要性

今回はギターやウクレレを少し弾いている人向けのお話です。

未経験の人や始めたばかりの人にはちょっと難しいかもしれませんが、なるべく簡単に解りやすく伝えられるよう努力します。

前回のページで、アウトプットすることの重要性について話しましたが、今回はインプットすることの重要性について触れてみたいと思います。

そのためには、先に確認しておかなければならないことがあります。

あなたはギター(ウクレレ)を弾くということが、どういうことか理解出来ているでしょうか。

ギター(ウクレレ)の上手い人が、ギター(ウクレレ)を弾くという行為。
これは彼らが何をしているのか、まずはそこを整理しておきましょう。

ギター(ウクレレ)を弾くということは、楽譜に書かれている音符を弾くことだと思っていませんか?

それは大きな間違いです。

特に初心者や初級者の人が、よくこの間違いをしています。

いかに楽譜通りに正確に弾けるか。
いかに指を速く動かして弾けるか。

ギター(ウクレレ)を弾くということは、これを追求することではありません。

ギター(ウクレレ)の上手い人で、こんなことを追い求めている人なんて、ほとんどいないと思います。

楽譜というのは音楽ではなく、ただの情報です。
音楽を演奏するために必要な情報が書かれているだけです。

その情報(楽譜)が間違っていることだってあるわけです。

なので、ギター(ウクレレ)を弾くことは、「楽譜を音に変換する作業」とは違います。

もちろん指の動く速さを誰かと競うものとも、根本的に違います。
速く弾いたところで、何もいいことないですよ。

では、正解を言います。

ギターやウクレレを弾くということは、「頭の中のイメージを具現化する」ということです。

ギター(ウクレレ)を弾くことは、もちろんアウトプットです。

何をアウトプットするかというと、頭の中の音をアウトプットするのです。

頭の中のイメージを、絵に描く人のことを画家と言います。
頭の中のイメージを、彫刻で表現する人を彫刻家と言いますね。

頭の中のイメージ(音)を、ギターで表現する人を“ギタリスト”と言うのです。
ウクレレで表現する人はウクレリストです。

つまり、ギター(ウクレレ)を弾くということは、楽譜に書かれた音符を弾くことではなく、自分の頭の中に流れている音楽を、ギターという道具を使って表現するということなのです。

もちろん楽譜を読んで正確に弾く練習もしますが、それは練習の一環であって、目的ではありません。

ギタリストやウクレリストがギター(ウクレレ)を弾くまでには、二つのプロセスがあります。

1つ目は、「頭の中に音をイメージする」こと。
2つ目は、「イメージした音を具現化する」ことです。

例えば、あなたがギター(ウクレレ)で何かのメロディーを弾きたいと思ったとします。

あなたの頭の中にそのメロディーが流れていないと弾けない、ということが理解できるでしょうか。(ここが大事)

どんなにギター(ウクレレ)が上手い人でも、頭の中に流れていない音は弾けないのです。

ということは、もしあなたがギター(ウクレレ)で弾きたいことが上手く弾けないという場合、その原因は2通りあることになります。

ひとつは、「弾きたい音はイメージできているが、上手く弾けない」。
もうひとつは、「頭の中にイメージそのものがない(頭の中に音が流れない)」。

これのどちらかです。

あるいは両方か。

弾きたい音がイメージできるが上手く弾けないという場合は、技術が足りていないという状態なので、弾けるようになるまで練習です。

ところが、頭の中に音がイメージできない場合はどうしたらいいと思いますか?

答えは、「音を聴く」ことです。
つまりインプットを繰り返すことです。

自分が弾きたいフレーズの音源や模範演奏を何度も何度も聴いて、頭に焼き付けます。

音楽というのは、そうそう簡単に記憶できるものではありません。

記憶できる部分というのは、自分が聴こえている(聴き取れている)部分だけです。

もし自分に聴き取れない音がある時は、聴き取れるようになるまでその音を記憶することはできません。
記憶していなのだから、頭にイメージすることなどできるはずがありませんね。(当たり前です)

インプットが正確にできなければ、アウトプットすることはできません。

インプットがあるから、アウトプットできるのです。

例えば、赤ちゃんが言葉を話せるようになるのは、周りの大人が話す言葉を聞いて覚えるからです。

産まれつき耳が不自由な人は、正確に言葉を発音することができないですよね。
声帯や口角に問題はないのに、上手く話せないのです。

それは言葉を聞いたことがないからです。

ギターやウクレレで曲を上手く弾くには、音源や模範演奏を正確に聴き取れなければなりません。

歌のメロディは聴き取って覚えることができても、肝心のギター(ウクレレ)で弾くコード進行や、音程や、リズムを正確に聴き取って、覚えることができないという人は多いのではないでしょうか。

人は音源を繰り返し聴くことで、徐々に音楽を瞬時に理解して記憶できるようになって行きます。

これは日々の訓練です。
自分が弾きたいと思う曲の音源を何度も何度も聴いてください。

もしあなたがギター(ウクレレ)を練習していて、上手く弾けないところがある場合は、楽器を持たずに、まずメトロノームに合わせて自分が弾くフレーズを声に出して歌ってみましょう。

「ジャンジャンジャカジャカ」「タラリラ〜タ〜リラ〜」…みたいな感じです。

正確なリズム(符割り)で歌えるでしょうか。

もし正しく歌えなければ、ギター(ウクレレ)を弾いても100%上手く弾けません。

ギターやウクレレを始めたばかりの頃は、技術を身につける練習ばかりに意識が行きがちですが、実は音を聴き取る練習もとても重要なのです。

自分が弾きたい曲やフレーズが上手く弾けない時は、インプット(音の聴き取り)に問題があるのか、それともアウトプット(演奏力)に問題があるのか、あるいは両方か。これを自覚していなくてはなりません。

私の生徒さんには、何かのフレーズを弾く時、そのフレーズが頭の中にイメージできていないにも関わらず、必死に弾こうとする人がいます。

これでは、知らない歌を歌おうとしているのと同じで、ギター(ウクレレ)が上手い下手以前の問題です。

ギター(ウクレレ)の練習というのは、弾く練習に入る前に、弾くことをイメージすることに時間を使います。

コードの響きや音程よりも、特に重要なのはリズム(符割り)です。

コードや音程は、頭にイメージできていなくても、指板上の正しい位置を押し弦することができれば、鳴らすことができますが、リズム(符割り)だけはそうは行きません。

正確にイメージできなければ、その時点でアウトです。

なので、自分が弾くフレーズをいろんなテンポで瞬時にイメージできるように、日頃からトレーニングしておきます。

私が常々言っている、「正しい練習」というのは、こういうことを理解して練習するという意味なんです。

今回お話した内容は、難しくてよく解らない人も多いかもしれないですね。(上手く説明できなくて、ごめんなさい)

ギターやウクレレは、「頭の中に流れている音を具現化することであって、頭の中に流れていなければ弾けない」ということに早い段階で気がつくと、上達するスピードが格段に早くなります。

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西沢恭輔