ギター・ウクレレ教室 Talking

奈良県桜井市のギター教室

 

コラム

現在Talkingまたは他教室に通われている生徒さんや、音楽教室に興味をお持ちの皆さんに向けて、自分がこれまでの講師生活において、経験したことや感じたこと、楽器指導に対する考え方など、どうでもいい話から少し固い話までざっくばらんに自分の思考を書いています。


習いに行くか、独学か

楽器を始める時、教室に習いに行くか、それとも独学でやるか、迷うことあるのではないでしょうか。

私がギターを始めた時はまだ高校生でしたが、始めてしばらくの間は独学で練習していました。

近所にギター教室がなかったせいもありますが、すぐに教室(スクール)を探し始めたりしないで、まずは自分の力でできるところまでやってみて、ひとりでは無理だと感じたら、習いに行くことも考えようかと思っていました。

アルバイトをして、レッスン料を払い続られる自信もなかったし。

私が初心者の頃にそう思っていたので、この仕事を始めたばかりの頃は、きっと教室に習いに来る人達は、独学で壁を感じた人達が殆どなのだろうと思っていました。

ところが、いろんな生徒さんに指導し始めると、大半の生徒さんは独学で練習した経験などなく、むしろ一度もギターを触ったことがないという人が半分以上で、独学でギターを始めた人が意外に少ないことが分かりました。

楽器を始める時、きちんと正しい弾き方を身に付けるために教室に習いに行くという選択は、今思えば正しいことだと思います。

しかし「独学で練習するということなど、全く考えなかった」という人がいることに、当時は驚きました。
「少しくらいは自分でやってみようと思わないのかな」と、首を傾げたりしました。

インターネットのあるサイトの掲示板で、同じことが議論されていたことがありました。

「ギターを始めるなら習いに行くべきか、それとも独学でもできるものか」という内容です。

習った方がいいという意見と、否定的な意見の両方がありました。

私がかつて初心者の頃に考えていたのと同じように「できるなら自分でやってみて、無理だと感じたら習いに行くのがいいのでは」という意見もやはりありました。

その中に、ひとつ印象に残っている意見にこんなのがありました。

「社会人には、ひとりで練習を続けてモチベーションを維持するのは大変。習いに行けば、嫌でも練習することになる。通うのは練習を継続するための動機」。

なるほど、と思いました。

教室に習いに行くということが、練習を続けるための理由付けになることはあると思います。

私がこれまで大勢の人を指導してきた経験から思うことをお話しします。(ここからが本題)

ギターは最初から独学でやっていける人って、すごく少ないと思います。
一部の人だけじゃないでしょうか、独学でマスターしていける人なんて。

少なくとも、私は無理でした。

独学で練習している人は、間違った弾き方や悪いフォームで練習していることが多いです。というか、ほとんどの人がそうです。

一度悪いフォームが身に付いてしまうと、矯正するのが大変です。

生徒さんによっては、悪い癖が取れず、正しいフォームがなかなか身に付けられないということがよくあります。

なので、最初から基礎を正しく身に付けた方が、高い演奏力を目指す人にとっては、数年間独学で練習してから教室に習いに行くより断然有利です。

私の指導の大きな特長は、常に先のことを考えた練習法を覚えてもらうことです。

ギターというのは初歩的な演奏であれば、多少間違った弾き方や悪いフォームでも弾けて(ごまかせて)しまいますが、難易度の高い演奏では、正しいフォームや基本が身に付いていなければ正確に弾くことが出来ません。

将来、高い演奏力を身に付けることを想定して、初歩的な技術を練習するのです。

私は生徒さんに基礎を教える時、常にその人の10年後を考えて指導しています。

「今はその弾き方でも弾けますが、正しい弾き方を覚えないと先で行き詰まりますよ」と、よく言っています。

先に基礎を身に付けておかないと、後々上達出来なくなること。近い将来ぶちあたるであろう壁があること。
生徒さんがまだ知らないことを、先に経験している先生は知っているんです。

自分は運良くハマらなかった落とし穴でも、多くの生徒さんがハマってしまう落とし穴もあります。
先に潜んでいる落とし穴や、今はまだ気づいていない問題点に気づかせてくれるのが先生なんです。

これこそが、教室でレッスンを受ける最大のメリットだと思います。

私もかつて素晴らしい先生から指導を受けていた経験があります。

毎回のレッスンの中に、新たな発見や謎を解くヒントがあって、自分が気づいていない間違いに気づかされたり、いつも感動したり関心させられていました。

ギターを習得するプロセスの中で最も重要なのは、基礎の部分です。

基礎が身に付いていれば、その基礎を応用させてその上のことが出来ますが、基礎が身に付いていない人は何も出来ません。

なので、基礎の部分だけを身に付けてしまえば、その先は独学でも上達していくことは可能です。

例えば、小学校から高校までを卒業している人が、大学には入らず、大学で学ぶ内容のことを独学で身に付けることは、やる気さえあれば可能なことではないでしょうか。

しかし、6歳の子供が小学校に行かずに、初等教育の内容を独学で身に付けることが可能かというと、これはまず無理でしょう。

独学で何かを身に付けるということは、基礎が身に付いているから出来ることなのです。

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西沢恭輔