コラム

現在Talkingまたは他教室に通われている生徒さんや、音楽教室に興味をお持ちの皆さんに向けて、自分がこれまでの講師生活において、経験したことや感じたこと、楽器指導に対する考え方など、どうでもよい話から少し固い話までざっくばらんに自分の思考を綴っていきます。

アウトプットする学習法

今回は学習法についてのお話です。

新しく学んだ知識を、しっかりと頭に記憶させて習得するための方法です。

習得するということは、ただ覚えるだけではなく、その知識を自分のものにして活用させるということです。

インプットとアウトプットという言葉がありますね。

文字通りインプットは、外部にあるものを内部に取り込むこと。
アウトプットは内部にあるものを外部に出すことです。

今回の話では、人間が頭の中に情報を取り込む、あるいは吐き出すという意味です。

念の為、詳しく説明しておきます。

インプットは見たり、聞いたり、頭の中に情報が入ってくることです。
例えば、読書や映画鑑賞、音楽鑑賞など、情報が自分の中に入ってくれば、それは全てインプットしていることになります。

反対にアウトプットは書いたり、話したり、頭の中の情報を表現することです。
例えば、文章を書いたり、発言したり、絵画やダンスや音楽を表現したり、自分の中にある情報を発信すれば、それは全てアウトプットしていることになります。

私が今、こうしてコラムを書いているのも、アウトプットしていると言えますね。

ギターやウクレレを弾くことも、もちろんアウトプットです。

(ここからが本題)

人が何かを学ぶ時、まずはインプットによって情報が入ってきます。

先生の話を聞いたり、お手本を見たり、教科書を読んだりして、新しい知識を学びます。

しかし、それだけではほとんどの場合、記憶には残りません。

記憶したとしても、習得して活用するまでには至りません。

人間は何か新しい知識を覚える時、アウトプットすることによって深く記憶に残るのです。

例えば、ギター(ウクレレ)のレッスンで始めて聞く音楽の用語を習ったとします。

生まれて初めて聞く言葉を、一度聞いただけで覚えることができるでしょうか。

覚えたとしても、それは短期記憶と言って、一時的に記憶しただけです。
時間が経つと忘れてしまうのです。

確実に記憶するには、それをアウトプットすることです。

つまり、声に出して言ってみたり、文字に書いてみることです。

先生:「音を止めたり弱めたりする技術をミュートと言います。大切な技術なので、しっかり身に付けて下さい。」
生徒:「音を止めることをミュートと言うんですね。わかりました、頑張ります。」

先生:「音を短く切ることをスタッカートと言います。ここはスタッカートで弾いてみましょう。」
生徒:「音を短く切ることをスタッカートですね。ここをスタッカートで弾くのですね。」

という具合です。

初めて聞く言葉を習った時は、直ぐに復唱するようにします。

言葉というのは、使わないと覚えられません。

自分の口からその言葉を発することで、強く記憶され、忘れにくくなるのです。

意図的に何度も口にすることで、次第に使いたい時に自然と使えるようになります。

実は私も長くギター教室をやっていると、性別や年齢などの特徴の似た生徒さんが同じ時期にふたり入会してこられた時など、どちらが何という名前だったか、瞬時に思い出せなくなる時があります。

顔と名前が一致しないというやつです。

そういう時は、指導する時も意図的にその人の名前を声に出すように意識しています。

「〇〇さんはこの曲をご存知ですか?」と。

教室の中には私とその生徒さんしかいないので、名前を呼ばなくても誰に言っているのか分かるはずですが、わざとその人の名前を口にすることで、その人の顔を見たら自然とその人の名前が言えるようにしているのです。

私の生徒さんの中には、重要なことを習った時、私が言った言葉を無意識に復唱する癖のある人がいます。

そういう人は、他の生徒さんより覚えるのが早くて、理解力が高い傾向があります。

何かを習った時、自分で口に出してアウトプットするのと、ただ話を聞いて相づちを打っているだけなのとでは、知識を吸収する(習得する)ペースは全然違うはずです。

これは言葉だけではありません。

楽器のテクニックや理論なども同じです。

何か新しいことを習ったら、すぐに習ったことを要約する習慣をつけると、理解するのが格段に早くなります。

習ったことをノートに整理してまとめるのもいい方法です。

中でも最強のアウトプットは、他人に「説明する」ことです。

他人に説明するには、得た知識が自分の頭の中で矛盾がなく、順序が整理できていなければなりません。
頭の中を整理することで、確実に理解できるようになります。

例えば、私があなたに何か複雑なことを説明したとします。
もし、あなたが私の説明を完璧に理解できていたとしたら、あなたは誰かに同じ説明ができるはずです。

自分が理解できていなければ、それを他人に理解させることは出来ないですよね。

自分がレッスンで習ったことを、確実に理解できているか確認したい時は、自分が先生になったつもりで家族や友人に同じことを説明してみて下さい。

果たして、上手く説明できるでしょうか。

上手く説明できなければ、習ったことが理解できていない証拠です。

説明を聞いてくれる人がいない場合は、誰かが聞いていると想定して、人形に向かって説明してもいいのです。

他人に説明することで、自分がより深く理解できるようになるのです。

つまり学習というのは、インプットからではなくアウトプットからなるものだということです。

アウトプットする学習法の重要性は、確かドラッカーも強く提唱していますよね。

「生徒に教師役をさせること以上の学習法はない」という言葉をどこかで聞いたことがあります。(誰の言葉だったか、思い出せない)

生徒が先生役となって、学んだ知識を他の生徒(あるいは先生)に解説することで、その知識への理解を深めるというのは、広く知られている学習法です。

実は私の教室でも、上達意欲の高い生徒さんにはこの指導法を取り入れています。

音楽理論を解説した時などに、次回のレッスンで生徒さんに先生役になってもらって、覚えた知識を私に解説してもらうのです。

矛盾することなく、順序立てて上手く解説できたら合格です。
これをすると、生徒さんの理解度がはっきりと解ります。

私は、本やビデオなどで何かを勉強した時、得た知識を必ず声に出して、誰かに説明する練習をしています。
部屋にひとりでいる時や、ひとりで車を運転している時によくしています。

誰もいない所で上手く説明できなければ、生徒さんを前にして上手く説明できるはずないですからね。

習ったことがなかなか覚えられないという人は、復唱する、要約する、書き出す、誰かに説明できるようにするなど、常にアウトプットすることを意識してみて下さい。