コラム

現在Talkingまたは他教室に通われている生徒さんや、音楽教室に興味をお持ちの皆さんに向けて、自分がこれまでの講師生活において、経験したことや感じたこと、楽器指導に対する考え方など、どうでもよい話から少し固い話までざっくばらんに自分の思考を綴っていきます。

上達の早い人、遅い人 Vol.2

前ページの続きです。
引き続き、上達の早い人と遅い人の特徴をあげていきます。

6. 課題の目的が理解できているか

私のレッスンでは、毎回必ず課題が出ます。

楽器のレッスンとは課題をもらうために来るところですから、課題が出るのは当然です。

そしてその課題が、何のための課題であるかを理解することはとても重要なことなのです。

例えば、私が生徒さんに課題曲を与えたとします。

課題をもらって「この課題曲は、きっとこの技術を身につけるための課題だろう」「先生はこの課題曲を通じて、こんなことを学ばせようとしているのではないか」と理解できる、あるいは推測する生徒さんは、上達の早い人です。

与えられた課題に前向きに取り組むのは、上達を望む生徒さんにとっては当たり前のことですが、課題の目的を考える習慣を持てば、さらに上達は早まります。

例え間違った推測でもいいのです。そういう考えを持っていることがプラスに働くのです。

逆に、「この課題曲は弾いていても楽しくない」「自分が弾きたい曲と違う」と、自分の主観だけで考えてしまう生徒さんは、上達の遅い人です。

物事の本質を捉えるのが苦手なタイプですね。

「なぜ先生はこんな課題を自分に与えたのだろう」と考えることが大切なのです。

私の出す課題には必ず目的があります。(当たり前です)
しかも、かなり緻密に計算して課題の内容を設定しています。

その課題の目的を考えることも勉強の内なのです。

仮にあなたが、何かを教える立場だったとします。
あなたの所に、技術や知識を学びたいと、人がやって来ました。
あなたはその人と、お金と引き換えに技術や知識を指導する約束をしました。
あなたはお金を受け取りました。

あなたはその人に、無意味なことを「やりなさい」と言いますか?

きっと、少しでもその人の期待に応えたいと思うはずです。

ひとから物を習うということは、自分の願望ばかりではなく、その人の心の中を想像するということが必要なのです。
その方が絶対に成長が早いです。

テストで高得点を取る秘訣は、出題者の意図をくみ取ること、何を答えさせようとしているのか推理することだと、テレビでお馴染みの林修先生が言っていました。(いつやるの?今でしょ!)

楽器の上達法にだけ限って言えば、私の頭は生徒さんより遥かに賢いのです。
生徒さんの想像力より、遥かに深い知識を持っているのです。

7. 答えではなく、考え方を学ぼうとしているか

これは少し解りづらいかもしれません。(上手く伝えられるかな)

「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」という中国の言葉があるそうです。

これは、「飢えた人に魚を与えても、一日だけしか食べられないが、魚の釣り方を教えれば、その人は一生食べることができる」という意味です。

私の指導の特徴は、まさにこれです。

答えを教えるのではなく、考え方や学び方、答えを導き出す方法を学んでもらえるように指導しています。

私は、生徒に答えだけを教えている先生は、指導力の低い先生だと思います。

「ここはこのように押さえなさい」「ここはこのように弾きなさい」と答えだけを教えたとします。

例えそれで生徒さんがその曲を弾けたとして、他の曲はどうやって弾くのでしょうか?

他の曲も同じように、また「答えだけ」を教えるのでしょうか。

その指導では、その生徒さんは常に先生がいなければ曲が弾けないことになってしまいます。

永遠に独り立ちできません。

例えば、ある曲にコードをストローク奏法で弾く場面があったとします。

先生のお手本をただ真似しているだけでは、他の曲で応用できませんが、ダウンストロークとアップストロークをどう使い分けるかを知っていれば、いろんな曲を弾く時に役立ちます。

楽器の上達にとって大切なのは、答えを導き出す方法を学ぶことです。

「なぜこの押さえ方をするのか」
「どういう時にこの弾き方をするのか」

考え方、選択の仕方、自由にギター(ウクレレ)を弾くためのノウハウを学ぶのです。

私は生徒さんが入会される時、必ず次の質問をしています。
「あなたが弾きたい曲は1曲だけですか? それとも沢山の曲を弾きたいですか?」
「先生から弾き方を習って弾ければいいのですか? それとも自分だけの力で曲が弾けるようになりたいのですか?」

1曲だけ弾ければ満足という人は、その曲の弾き方(答え)だけを知って、それを丸覚えでいいでしょう。

魚を与えるだけなので、指導するのも楽です。

ですが、沢山の曲を自分だけの力で自由に弾けるようになりたいと思う生徒さんには、魚の釣り方を教えなければならないので、時間がかかります。

これは高い指導力が必要になります。

時間はかかるのですが、目標に近づくには結果的にそれが近道なんです。

曲の弾き方を丸暗記しただけでは、自分が表現したい音楽を自由に表現できるレベルには永久にたどり着けません。

上達の早い生徒さんは、わりと早い段階でこのことに気づきます。
なので、上達の早い人ほど、私の指導を高く評価してくれます。(ありがとうございます)

反対に、いつも答えだけを欲しがっている生徒さんは、上達の遅い人です。

私に言わせれば、学び方が解っていないという印象です。

よく日本のプロ野球選手がアメリカのチームに移籍して、現地で入団記者会見をすることがありますよね。
その時、冒頭の挨拶だけは拙い英語で話し、その後の質疑応答の場面になると、通訳を介して日本語で答えているというシーンをよく見かけます。

あれは、選手が事前に冒頭の挨拶文だけを丸暗記している証拠です。
もし高い英語力があるなら、質疑応答も最後まで英語で話すはずです。

事前に暗記した通りに話すことができても、相手の英語を聞き取って、自分の言いたいことをその場で考えて流暢に話すことができなければ、英会話をマスターしているとは言えませんよね。

ギター(ウクレレ)も全く同じです。

丸覚えしたことをそのまま弾いているだけだは、自分が表現したいことを自由に表現することはできないことに気づくことが大切なのです。

8. 目標を見据えているか

生徒さんの目標というと、ジャンルや演奏スタイル、曲目などは人によって様々ですが、多くの人に共通していることは、「自分が弾きたい曲を、自分の力で自由に弾けるようになる」ということです。

そのために必要なノウハウを学ぶのがレッスンです。

例えば、アルペジオ奏法の基礎を習ったとします。
初歩的なコード進行で、アルペジオがスムーズに弾けるようにするというのが課題です。

練習の甲斐あって、課題曲をアルペジオで何とか弾けるようにはなりました。
先生からもめでたく合格点がもらえました。

次に生徒さんがやることは何ですか?

例えば、自分の好きな曲(得意な曲)にアルペジオを取り入れて弾いてみようとする生徒さんは、間違いなく上達の早い人です。

習ったことを他の曲にも活用させ、発展させていくプロセスはとても楽しい作業です。

反対に、何のためにアルペジオを練習したのか解らないという生徒さんは、上達の遅い人です。

ひとつのことを学んでも、それをどう活用させていいかが解らないという人です。

レッスンを受けに来ると、必ず課題が出されますが、生徒さんはその課題をクリアしないと次のステップに進めないので、なんとか課題をクリアしようと努力します。

レッスンの内容が次のステップに進んで行くと、それだけで自分が進歩し、上達しているように錯覚を起こしてしまうことがあるのではないでしょうか。

生徒さんがギター(ウクレレ)を習い始めた目的は、課題曲を上手く弾くことではないはずです。

課題曲を上手く弾くためにギター(ウクレレ)を習い始める人なんていないでしょう。

生徒さんの目標は、「自分が弾きたい曲を、自分の力で自由に弾けるようになること」だったはずです。(そうでない人もいますが、多くの人はこれに当てはまります)

課題を通じて身につけたことが自分の演奏に生かせていなければ、何のための課題かわかりませんよね。ただ課題曲を弾いただけです。

課題をクリアすることだけに着目して、本来の目標を見据えた練習をしていなければ本末転倒です。

9. 根拠を持って練習しているか

もうひとつ上達の早い人と遅い人の決定的な違いをお話します。

上達意欲の高い生徒さんは、私が出した課題だけでなく、それ以外の練習にも自ら取り組んでおられることがあります。

それは好きな曲だったり、自身が持っている楽譜だったり、エチュードだったり様々です。

出された課題以外のことに自ら取り組むことは、上達には必要なことなのでいいのですが、問題はその内容です。

例えば、Fコードが苦手な生徒さんが、それを克服するために適度にFコードが出てくる曲を選んで練習していれば、その人は上達の早い人です。

自分のレベルに適した難易度で、自分が今克服するべき内容が解っていて、それを踏まえて練習内容を自分で選ぶことができる人は、将来間違いなく上手くなれるでしょう。

理にかなった練習をしていて、練習のやり方が上手い人です。

反対に、上達の遅い生徒さんはというと、見当外れなことを選んで練習している人です。

自分のレベルに適さない難易度の曲や、順序を無視した内容を選んでいたりです。

例えば、インターネットか何かで知った奏法に興味を持って、「〇〇奏法を教えてください」と言ってくる生徒さんがいます。

(悪い予感がします)

「あなたは、なぜ〇〇奏法の練習をしようと思うのですか?」と尋ねると、

「特に意味はないのですが、なんとなくやってみようと思って…」

(悪い予感が的中です)

これは上達の遅い生徒さんによくある行動です。

なぜ、意味の解らないことを練習するのですか?

その奏法が何のための技術で、それを練習することで、自分にどんな効果があるかも解らないのに、ただ偶然目にした奏法を根拠もなく練習するのって、すごく効率が悪いと思いませんか。

根拠を持たずに、自分が練習することを選んでいる人って、結構多いのです。

自分の目標が何で、今の自分に何が足りなくて、今何を身につけるべきかを考えれば、自分が今取り組むべき練習が何か見えてくるはずです。

まとめ

上達が早いか遅いか、最も大きく別れるポイントは練習量です。
これは当たり前過ぎて言うまでもないことなので、今回は触れていません。

今回あげたポイント以外にも、上達の早い人と遅い人の共通点は沢山あります。

今回紹介したポイントをまとめて言えば、上達の早い人は学習力が高く、そして行動力があるということになると思います。

ギター(ウクレレ)だけに限らず、きっと何をやっても成長が早い人たちだと思います。

反対に、上達の遅い人たちは想像力が乏しく、自分を客観視するのが苦手で、何をやっても学びが遅いのかなと感じます。

ですが、学習力が高いか低いか以前に、ギター(ウクレレ)の上達においてもっと重要なことは、「上手くなりたい」という気持ちがあるかどうかだと思います。

上手くなりたい気持ちが強い人は、努力を続けます。

学びが遅い人は、人より時間をかけて学べばいいだけのことです。

学び方が解らなくても心配はいりませんよ。全部私が教えてあげます。